検査装置や計測機器の展示では、装置そのものは箱のような外観で、測定は一瞬で終わり、結果は小さな画面の中に表示されます。ブースの前を通る人からは、「何をしている装置なのか」が見えにくくなりがちです。
この記事は、検査装置・計測機器のメーカーや、検査・測定の技術を強みとする会社の方に向けて、展示会での見せ方をまとめたものです。結論は、装置の性能より先に「何を測り、その数値で何が判断できるのか」を順番に見せることです。
まず結論:「測った結果で何が決まるか」までを見せる
私たちは、検査装置・計測機器の展示では、測定の速さや精度の数字を先に出すよりも、その測定によって現場で何が判断できるようになるのかまでを見せることが大切だと考えています。
装置の仕組みだけでなく、「その測定によって現場で何が判断できるのか」まで示すと、用途を具体的にイメージしてもらいやすくなります。数値は、その判断を支える裏付けとして見せる順番にすると、専門外の方にも話が伝わりやすくなります。
なぜ検査装置・計測機器は伝わりにくいのか
検査・計測の分野には、展示会で伝わりにくくなる理由がいくつか重なっています。
- 装置の外観からは、何を測っているのかが分からない
- 測定は短い時間で終わり、変化が目に見えにくい
- 結果は画面の数値やグラフで、離れた場所からは読めない
- 数値の良し悪しは、測定対象や規格を知らないと判断できない
たとえば、樹脂部品の寸法を非接触で測る装置の場合、ブースで測定を実演しても、通路からは「部品を置いたら画面が変わった」としか見えません。何の寸法を測り、その結果で何を判断しているのかを、画面や説明で補うと内容が分かりやすくなります。
4つの順番で見せる
検査・計測の内容は、次の4つの順番で見せると整理しやすくなります。先の樹脂部品の寸法測定を例にしています(内容は説明のための例です)。
| 順番 | 見せるもの | 例 |
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| 1. 測定対象 | 何を測るのか | 樹脂の成形部品と、測る箇所(穴の位置) |
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| 2. 測定の様子 | どう測るのか | 部品を置き、非接触で測定する様子 |
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| 3. 画面の数値 | 何が出てくるのか | 測定値と規格値、合否の表示 |
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| 4. 判断 | その数値で何が決まるのか | 金型の補正が必要かどうかを、成形の直後に判断できる |
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1. 測定対象:測る箇所に印を付ける
部品を映すだけでなく、測る箇所を矢印や枠で示します。部品全体を見せてから測定箇所に寄ると、何を測るのかがはっきりします。
2. 測定の様子:人の手の動きを入れる
部品を置く、ボタンを押すといった操作を映すと、測定の手間がどの程度かが伝わります。測定時間が短いことが強みであれば、操作の始まりから結果が出るまでを切らずに見せる方法もあります。
3. 画面の数値:規格と並べて読ませる
測定値だけを出しても、良いのか悪いのかは分かりません。規格値や許容範囲と並べ、合否の表示があればそれも映します。数値はブースの画面の大きさで読めるよう、拡大して見せます。
4. 判断:現場で変わることを言葉にする
最後に、その数値によって何が決まるのかを一言で示します。実際にその装置で実現できる内容の中から、「抜き取り検査を全数検査にできる」「不良を後工程に流さない」など、来場者が自社の工程に置き換えて考えられる言葉にします。
装置の画面キャプチャの見せ方
測定ソフトの画面は、情報が多く、そのまま映すと何を見ればよいか分かりません。
- **可能なら画面データを直接取り込む:画面録画や画像を書き出せる場合は、直接取り込むと反射やちらつきを避けやすくなります。
- 全体を見せてから寄る:まず画面全体を一瞬見せ、そのあと見てほしい数値やグラフの部分に寄ります。
- 見てほしい部分に印を付ける:枠や色で囲み、それ以外を少し暗くすると、視線が迷いません。
- 実機の映像と並べる:画面を左右に分けて、測定している実機と画面の変化を同時に見せると、操作と結果の関係が伝わります。
- 映ってはいけない情報を確認する:顧客名の入った測定データ、ファイル名、社内のネットワーク情報などが画面に残っていないかを確認します。
実機デモと動画の役割を分ける
検査装置・計測機器は、ブースに実機を置いて実演できることもあります。その場合も、動画と実機で役割を分けておくと説明が組み立てやすくなります。
| 使うもの | 主な役割 | 向いている場面 |
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| ブースの画面で流す動画 | 4つの順番を通して見せ、何の装置かを伝える | 通路から見ている人、順番待ちの人 |
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| 実機デモ | 測定の速さや操作の手軽さを、目の前で体験してもらう | 足を止めて関心を持った人 |
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| 手元のタブレット | 測定ソフトの画面を拡大して見せ、数値の意味を説明する | 仕様や精度を詳しく知りたい人 |
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実機デモでは、測定に時間がかかる場合や、結果の画面が小さい場合があります。そうしたときは、デモでは操作の部分を見せ、結果の読み方を動画やタブレットで補う方法もあります。来場者が持参したサンプルを測る対応をするかどうかは、機密の扱いも含めて、会期前に社内で決めておきます。
よくある失敗
- 精度の数字から始める:何を測っているのかが分からないまま数字が出てくると、比べようがありません。
- 画面の文字が読めない:測定ソフトの画面をそのまま流すと、離れた場所からは数値が読めません。
- 判断の話がない:測定の様子と数値だけで終わると、「自社にどう役立つのか」が伝わりません。
- **実機デモに頼りきる:説明員が対応中のときは、ほかの来場者には装置の働きが伝わりにくくなります。
微細な形状を測る場面の撮り方は微細加工・高精度加工を動画で見せる5つの方法で、目に見えない技術の伝え方の総論は目に見えない技術を展示会でどう見せる?で紹介しています。当日の画面の置き方は展示会当日のブース動画の運用方法をご覧ください。
まとめ
検査装置・計測機器の展示では、次の流れで見せ方を考えると整理しやすくなります。
- 測定対象 → 測定の様子 → 画面の数値 → 判断、の4つの順番で見せる
- 画面は取り込んだ映像を使い、見てほしい数値に寄って印を付ける
- 動画・実機デモ・手元のタブレットで役割を分ける
「何を測っているか」と「その結果で何が決まるか」が伝わると、来場者が自社の工程に置き換えて考えやすくなります。
この記事を書いた人
水元 和夫(合同会社AHA TOKYO 代表)
八王子を拠点に、多摩地域の中小企業のAI導入・展示会準備を支援しています。